大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和42年(オ)881号 判決

上告人

内藤卓

代理人

伊達利知

ほか四名

旧商号

東北電気製鉄株式会社

被上告人

東北振興化学株式会社

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人伊達利知、同吉原隆次、同溝呂木商太郎、同伊達昭、同藤井正博の上告理由第一点および第二点について。

原判決(その引用する第一審判決を含む。)の適法に確定した事実関係のもとにおいて、上告人の先代である内藤寛は、同人が石灰窒素の製造炉に関する本件考案を完成するに至つた昭和二六年三月当時、石灰窒素等の製造販売を業とする被上告会社の技術部門担当の最高責任者としての地位にあつたものであり、かつ、その地位にもとづき、被上告会社における石灰窒素の製造炉の改良考案を試み、その効率を高めるように努力すべき具体的任務を有していたものであるから、右内藤寛が本件考案を完成するに至つた行為は、同人の被上告会社の役員としての任務に属するものであつたというべきであり、したがつて、被上告会社は、本件実用新案につき、旧実用新案法(大正一〇年法九七号)二六条、旧特許法(大正一〇年法九六号)一四条二項にもとづく実施権を有する、とした原審の解釈判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は、ひつきよう、独自の見解を主張するものにすぎず、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(草鹿浅之介 城戸芳彦 石田和外 色川幸太郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例